法定休日と法定外休日の違いは
土曜日に休日出勤した場合、3割5分増の割増賃金を支払う必要があると理解されている事業主は意外と多いいのではないでしょうか。しかし、これは法律として正しい理解ではありません。このことを正しく理解するためには、法定休日と法定外休日の違いを理解しておく必要があります。というのも、3割5分増の割増賃金を支払う必要があるのは、法定休日に出勤した場合に限られるからです。
法定休日とは
時間外、休日及び深夜の割増賃金を定めた労働基準法第37条にいう「休日」とは、休日を定めた同法第35条の「休日」と同義であり、「1週1日又は4週4日の法定休日」を指します。したがって、この法定休日に労働させた場合は、3割5分以上の割増賃金が必要となります。月給なら、
月給額 | ×1.35×法定休日労働時間数 |
1年間を平均した1ヵ月あたりの所定労働時間 |
の割増賃金を支払うわけです。
多くの企業では、法定休日のほかに、週ごとの所定休日(土曜日等)や国民の祝日、年末年始等を休日(いわゆる法定外休日)と定めていると思いますが、「1週1日又は4週4日の法定休日」が確保されていれば、これら法定外休日に労働させても、割増賃金を支払う必要はありません。働いた時間分の時間あたり賃金を支払えばそれで足ります。すなわち、月給なら
月給額 | ×1.0×法定外休日労働時間 |
1年間を平均した1ヵ月あたりの所定労働時間 |
を支払えばよいわけです。
法定外休日労働で割増賃金が発生する場合
ただし、法定外休日に働いたことによって、その週の労働時間が1週の法定労働時間(40時間)を超えた場合は、その超えた時間分について、時間外労働としての割増賃金(2割5分以上)の支払いが必要となります。たとえば、週5日勤務、1日の所定労働時間が7時間の企業の場合、月曜日から金曜日で7時間×5日=35時間労働ですから、土曜日(法定外休日の場合)に働いても、あと5時間までなら法定内労働で割増賃金の支払いは必要ありません。
しかし、5時間を超えて働いた場合は、週の法定労働時間である40時間を超えて働いているわけですから、その分は、時間外労働として2割5分以上の割増賃金の支払いが必要になります。
つまり月給なら、
月給額 | ×1.25×法定外労働時間 |
1年間を平均した1ヵ月あたりの所定労働時間 |
の割増賃金を支払うことになります。
労務リスク軽減の為の就業規則の活用
割増賃金の取扱いは社員の給与に直結する事項です。社員が3割5分増の割増賃金が発生する休日とそうでない休日で混乱しないように、法定休日とそれ以外の休日を就業規則などで明確に区分しておくことが望ましいとされています。
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