SDGsと働き方改革
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の17ある目標のうちの一つに、「働きがいも経済成長も」という目標があります。
この目標では労働と雇用に関する世界のさまざまな課題が示されていますが、日本における取り組みで最も注目されているのが「働き方改革」です。
社会的に推進されているSDGsについて、持続可能な社会を実現するために欠かせない、働き方改革という観点でご説明します。
「働き方」の現状
今日の職場は多様な人材(性別、年齢、国籍、障がいの有無、キャリアや経験、働き方など)で構成されており、働く社員の意識も年々変化しています。
少子高齢化の進行と労働力人口の減少、加えて、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、企業と働く人々が「働き方」を大きく見直すきっかけにもなりました。
少子高齢化による生産年齢人口の減少は、採用したくても社員を採用できない、また採用しても社員が入社後すぐに退職してしまうといった課題を企業に与えています。特に中小企業では人材不足の傾向が顕著だとされています。
また、コロナ禍での働き方の変化の一例が、感染防止のため広がったテレワークです。今までは毎日、決まった時間に出社して会社で仕事をするのが当たり前でしたが、パソコンなどのデジタル機器とインターネットを使うことで、在宅での仕事が可能になったのがテレワークです。
なぜ「働き方改革」が必要なのか
企業が競争力を高めていくためには、職場の社員一人ひとりが最大限に能力を発揮できる機会を提供できる「魅力ある職場づくり」が欠かせません。
平成31年4月1日以降施行された働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、 多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずることを目的としています。
働き方改革は、社員が働きやすい職場環境を整備し、社員区分ごとに適切なキャリア支援を行うことにより、(社員の「働きがい」を支援することにより)社員のスキルアップ・モチベーションアップを図ることで労働生産性を高め、企業の業績アップを目指すための「人材活用戦略」です。
働き方改革に取り組まなければ優秀な社員を採用できないだけでなく、現在働いている優秀な社員も退職してしまいます。
世界的に長引くコロナ禍で企業は依然として厳しい経営環境にありますが、この働き方改革を積極的に推進して、社員からだけでなく“社会から選ばれる会社づくり”をめざすことが必要です。
働き方改革のもとになる考え方は、SDGsの開発目標(3,5,8,10)にもつながります。
その点を理解し、人の観点からSDGsの取り組みを進めることが可能であり、企業としてその点をアピールすることもできるのです。
SDGsの取り組みは企業の必須課題
ほとんどの中小企業は現在 SDGsに興味がない、あるいは取り組む余裕がないと言われています。しかし、これに取り組まないと将来的に事業存続ができなくなるなれば、どうでしょうか?経営資源であるヒト、モノ、カネをSDGsの視点で見てみましょう。
まずヒトに関して言えば、SDGsは学校教育でも行われています。
将来的に、SDGsが当たり前になり、それを学んだ学生が就職をする際に、「その企業がSDGsに取り組んでいるのかどうか?」は当たり前の判断基準になります。
中小企業ではただでさえ採用が難しい状況です。SDGsに取り組んでいないと人材確保がさらに難しくなります。
そして、中小企業にとって大きな「お金」の問題があります。投資家や金融機関は世界共通の取り組みであるSDGsに対し、その企業の取り組み具合を意思決定の判断材料として注視しています。積極的に取り組んでいる企業に投資したり、金融面からサポートする金融機関もあります。
次の表は働き方改革の基になる考え方とSDGsの開発目標(3,5,8,10)との関係を図で示したものです。
マーシャル・コンサルティングではSDGsを経営に活用する方法について、情報を収集しております。具体的な方法を体系化し、継続的にご案内いたします。